Statement

 

English

私たちは様々な器にとりかこまれて暮らしています。

空(から)を内包する器の存在があって初めて、何かを“満たす”という可能性が生じるように思えます。つまり、私の作品制作においては、器という造形形態が、 概念上の対話を確立し発展させていくのです。

 

近年の作品では、平面的な従来の装飾モチーフを、器という立体にスライドプロジェクターで拡大投影し、それをなぞりながらフォルムの表面に釘をさしこんでいきます。一見意味のない黒い点の集まりが、ある角度から一定の距離をおいて見た時初めて、認識できるイメージが浮かび上がってきます。こうすることによって、装飾こそが、ある空間の中で歪像作用として機能するのです。

 

器のカタチと装飾に関する考察:陶器表面の 装飾本来の位置からズレ、となりのカタチに浸食する装飾モチーフ。カタチを無視し、まわりのスペースを縫いつけていくような装飾。

 

私にとってカタチをつくり、それを装飾するという事は、何かを象徴するという作業でもあり、それは自明の意味を解体し、再分配し、そしていつも新たに理解されるべきものを再構成する、ということかもしれません。

 

その理解が、おそらくは、ほんの一瞬ではあるにしても。